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MORIYAマガジン

【コロナ禍の影響】フラワービジネスのホントのところ①(消費の落ち込み)

新型コロナウイルス感染症の影響が一般生活に出始めた2月頃、まず最初に影響として真っ先に報道された業種の中に花業界がありました。

ライブや演劇、発表会などのスケジュールが一斉に中止となり、ロビーを飾る御祝い花や、楽屋花も同様にキャンセルとなったからです。

当時、MORIYA(筆者の花屋)の店にもテレビ局から電話がかかってきて、新型コロナウイルス感染症によって、影響はありますか?との取材依頼がありました。

MORIYAでも、ある一定の影響は受けましたが、様々な所に販路を持っていたということと、繁忙期なので影響は軽微でした。

その後、現在に至るまで、卒業式や歓送迎会などによる消費の落ち込みによって、花が市場に出荷できず、産地で廃棄されてしまうフラワーロスが継続的に報道されています。

花業界への影響は看過できないほどのものには変わりなく、今後、業界に携わっている人、今後携わってくるだろうあるゆる人が手を取り合いながら、改善に向けて協力を進めていかなければならないことは確かではありますが、局所的な影響と、全体的な影響とを理解しながら、全体を把握しなければならないと思い記事にまとめました。

但し、業界全体を包括するには、数年後の統計資料が必要であったり、農家さん、流通(市場・問屋)、販売店、消費者、周辺業者(資材・配送)が関連し合いながら、問題が出てくるので、あくまで筆者の所感であることと、記事をいくつかに分けて書くことによって、全体を少しずつ整理していくという書き方になることはご容赦ください。

影響はどこに出ているのか

三密となると思われるあらゆる【人が関係する場所】に連なる消費が減少していることは多くの方が同意できるものだと思います。

ライブやイベント、飲食店のテイクアウトオンリーなどです。

お花の消費には、イベント需要、法人需要、慶弔需要、ホームユース(自宅消費)、パーソナルイベント(個人贈答)、スクール需要などがあり、コロナで最も影響を受けているのがイベント需要と法人需要です。

イベント需要

コンサート・ライブ、演劇、講演会、祝賀会、卒業式、入学式などの人が多く集まる所には、会場装花や、ロビーを飾る御祝い花などがセットになることが多く、それを専門に扱っているお花屋さんは特に大きなダメージを受けています。

法人需要

夜の繁華街が華やかなのは、キャストだけではなく、空間を彩るお花も一役を買っています。

現在、繁華街などで軒を連ねる接客を伴う飲食店が一斉に休業している影響で、誕生日やパーティなどに係わる花需要も一斉になくなり、それらを専門的に扱っているお花屋さんも実質休業に追い込まれています。

この業界におけるお花の消費量の多さは、夜の繁華街を歩いたことがある方であれば誰もが想像できるほど大きいものです。

また夜の繁華街だけではなく、百貨店やテナントに出店しているブランドショップや、オフィスでも生花を飾っている所も多く、休業店舗が多い時期では、その影響も大きかったと言えます。

慶弔需要

お葬式、結婚式など、人が集まる式典に関しても同じように大きな影響を受けています。

葬祭関連では、家族葬が主体となることが規模の縮小による消費減、結婚式であれば結婚式自体が延期となることで、花需要自体がすっぽり無くなってしまいました。

特にウェディングは専門業者であることが大きく、売上依存の観点から考えても厳しいだろうと考えられます。

ホームユース

ホームステイが一定数定着していることもあり、花の個人消費は堅調であると推察しています。

ここに関しては、統計的な調査が出るまでエビデンスがわからないのであくまで推察となりますが、市場の状況や、知り合いの生花店、専門業者に話を聞くなどする中では、むしろ自宅消費は伸びてるという声をよく聞きます。

お花は心のビタミン剤と言われることもありますが、生き物であり、時間の経過を感じられるお花は、少しあるだけで空間に生きている感覚を持ち込んでくれる数少ない存在であることは間違いないという認識が、コロナ禍を通じて確かなものとなっています。

パーソナルイベント

誕生日(還暦や喜寿・米寿)祝い、記念日、お見舞い、退職祝い、母の日(〇〇の日)などの個人が個人に贈る機会については、一緒に住んでいない場合は、帰省を自粛するなど直接渡すことができない機会もあり、お花屋さんの属性によって売上減の影響を受けた所もある反面、直接会いに行けないのだからお花を贈りたいという新しい需要が生まれることによってオンラインを積極的に活用しているお花屋さんに注文が集中した傾向もあります。

MORIYAでも4月15日には母の日関連の消費の影響もあって、4月25日~5月10日までのご予約が全て埋まり、ご予約自体が受付できない状況になりました。

母の日付近の市場の値動きから見ても、例年に近い高値の値動きでありましたので、イベント需要、法人需要、慶弔需要の押し下げを十分に押し上げるほどのパーソナルイベント需要があったことは間違いありません。

スクール需要

いけばなやフラワーアレンジメントスクールなど、お稽古事の需要は花に係わる花人材育成に大きく寄与していると共に、定期的な花消費という役割を担ってきましたが、直接指導が本流であったため、多くのスクールで中断を余儀なくされています。

一部オンライン授業(リアルタイムでない)も実施されておりますが、リテラシーの高い低いによって、差は大きく、お稽古が再開されたとしても、コロナの第2派、第3派の波が押し寄せた場合、多くのスクールでは休講となるでしょう。

ここに関しては、他の教育機関と同じく、サービスの提供方法を抜本的に見直すことができるチャンスだとも言えます。

以上、花業界の消費という側面からいくつかにカテゴリー分けをしながらまとめました。

これらの消費が以前のものに戻るものと戻らないもの、戻るとしても戻る時期がカテゴリーによって少しずつ異なります。

また、花生産に係わる問題、輸出入に係わる問題、販売店の販売経路にかかわる問題、花業界の販売戦略の脆さ、花業界の情報共有や、販路共有など、様々な課題がコロナ禍によってあぶりだされています。

今回は【消費】に沿って記しましたが、テーマごとに整理しながら今後の展望に至るまで、ちょっとひとかじりという程度記していきたいと考えております。どうぞ、お付き合いください。