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黄檗宗総本山萬福寺献花装飾

2021年、2022年と黄檗宗総本山萬福寺さんで開催された黄檗売茶流文化祭にて献花をさせていただきました。西方丈では部屋の内外の空間の違いを活かした鮮やかな赤の花装飾を。

法堂の前の広場では対になる形で浮かび上がる花装飾を設置しました。

西方丈では、戸外の緑に光が照らされて、爽やかな空の青が広がっており、静寂で厳粛かつ壮大な景色でありつつも、西方丈の中は畳や梁、襖などがまっすぐな線として構成されており、静寂でありつつも凛とした張り詰めた空気が漂っていました。

ここでは、花装飾を設置した部分を大きな床の間と仮で見立て、大きな景色を眺める愉しさを日常とは異なる形で愛でてもらえるように試みました。

朝方は青がより青くなり、赤とのコントラストが一層際立ちます。
器には新進気鋭の丹波焼作家大西雅文さんの赤丹波の花器に投げ入れしました。
歴史ある萬福寺の建物に負けない迫力を持った花器へ、緊張しながら1枝1花を投げ入れしていきました。

まだ有名でもない1人の花装師にこのような場所で花装飾をさせていただく機会をいただけたこと、本当にありがたく思っています。人のご縁で僕の花を気に入っていただき、花の力を信じる一人の花装師の可能性を信じていただけたのだと理解しています。

法堂の前の花装飾です。ラピュタのように浮かぶ姿が感じられるように、支える鉄の柱は地面から垂直に立ち、花は登りゆくように緩やかな弧を描くようにすらっと空へと伸びていきます。大地から獲得した力を空に放出するようなイメージで線と曲線で構成しています。

一対になるように構成したもう一方の花装飾です。こちらも同様の構成でお作りしていますが、もう一方が赤の秋として、こちらは質感の秋として、秋の異なる姿を表現しています。この一対の花装飾と、西方丈の花装飾との組み合わせで、萬福寺ならではの一つの秋の世界観を感じていただける設えをしました。このお花を観にわざわざ行きたくなるようなお花として設えができていたらとても嬉しいです。

お花は自然界のものとして、様々な自然の姿を表現することができます。
そして、その自然の姿をより際立たせることもできます。
また、その現地だからこその表現や、ストーリーまでもを表すことができるようになれば、一つ一つのモノやコトをお花によって繋げることも可能です。

そのような実験的な花装飾を今後も続けていきたい。
せっかく花と関わる生業をしているのだから。

そのように思っています。

今後も、僕のお花をお愉しみいただけますと幸いです。